interview

PAS:ELY DESIGN

Exterior design,Landscape Architecture,
Web design, Art photo & Foods

更新日 2017-07-11 | 作成日 [2008-08-01]

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花火あがる玄関前

子供の名前が由来の庭

[取材レポート:野稲 絵美 noine office]
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 静かな新興住宅地にたたずむスパニッシュ様式のお宅。南欧の雰囲気が漂うお庭に配された石組みが、ご近所でもひときわ目を引きます。細くやわらかな曲線のアプローチに導かれて玄関の手前まで来ると、今度は何やら不思議なモノに出会いました。これは…小さな植物があふれるように植えてある壷にガラスの照明がありました。足元へ目をやると、この壺を中心にして、丸みを帯びた小石が散りばめられています。何と独創的な…。どんな方が住まわれているのか、ワクワクしながらインターフォンを押しました。
 迎えてくださったのは、はつらつとした若さいっぱいのK様ご一家。ご夫婦ともに花火などの火薬をつくる企業へお勤めと伺った瞬間、壺から放射状に埋め込まれていた小石が脳裏に浮かびました。もしやと思い質問を投げかけると「そうなんです。花火のイメージなんですよ。パセリデザイン魚住さんの提案です。面白いでしょ。うちの会社は花火を作っているわけではないんですけどね(笑)、世界中どこを探してもうちにしかない自慢の庭ですよ」とご主人。日が暮れて壺のライトが灯ると、ガラスからキラキラした輝きがあふれ出し、夜の庭を美しく演出します。

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さらにこの壺は、機能的な役割も果たしていました。内壁をつくらずに庭に解放感を持たせた反面、見えやすくなってしまった玄関への視線を、存在感ある壺が一歩手前で引き留めます。「道路に面した南側の壁が一部分だけ石組みになっているのも、南向きにあるリビングへの視線をそこに逃がすためなんです。デザインだけじゃないところが、さすがですよね。おかげで家の前の人通りも気になりません」と、奥様も大満足のご様子です。
 しかしながらマイホームの建築を決めた当初は、実はもう1社、エクステリア業者の競合があったそう。ご夫妻は当時の経緯を「予算的に手頃だったし、こちらが言った通りに図面を仕上げてくれたんですけど…素人の意見をそのままっていうのはちょっと。それって、どこまでいっても私たちのイメージを超えないんですね。その点パセリデザインさんの提案には、アッと言わされましたよ。“花火”もそう(笑)。ここに任せればオンリーワンの庭になる、少々お金がかかってもお願いしたいって思いました」と明かしてくださいました。 






▼壺の中の照明が花火の中心のイメージで打ちあがる光や周りにきらめく光を石で表現




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 パセリデザインのセンスに惚れ込んだというお二人。施工中は毎日欠かさず現場を訪れたと言います。「私たちとの会話やイメージからいったいどんな形ができ上がるんだろう?って、とにかく楽しみで仕方なかったですね」(ご主人)「ある日現場に来てみたら、大きな庭石を宮田さん自らが組んでいらっしゃって。それだけでも驚いたんですけど、一度きれいに組みあがった石を、イメージと違うからってまた最初から組み直されたんです。あの時は本当に感動しました」(奥様)



▼宮田が何度も組みなおした石
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 また、夫婦共働きのご夫妻は、仕事を依頼するにあたって、パセリデザインへある条件を出していたそうです。それは、「手入れの要らない庭」。つまり、植物を極力少なくして欲しいとリクエストしたのです。ところが、見ての通りK様邸のお庭には、四季折々に花をつける木々、ブルーベリーなどの果樹、駐車スペースは芝生と、グリーンがいっぱい。植物のセレクトと低コストの自動散水システムの活用で、グリーンがあってもまったく手のかからない庭を、実現してしまったのです。「庭にこんなに癒やされるなんて、実際に暮らしてみるまでは思いもしませんでした。花やガーデニングに興味も湧いてきて。でも、いまだに鉢植えしかさせてもらえないんですよ。せっかく宮田さんたちがつくった庭だから勝手に手を加えてくれるなって、主人に叱られるの(笑)」
 笑顔の絶えないK様ご一家。この夏はお庭のブルーベリーが鈴なりに実ったそうです。お次は腹ぺこあおむし君に葉をかじられてしまったレモンの木が、すくすくと育ってかわいい実をつけ、息子さんを喜ばせてくれるといいですね。



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▼自動の散水システム